2009年末〜2010年初頭の発売が見込まれているWindows7ですが,ついにでRC版(出荷候補版)がリリースされました。テガラでもさっそく入手して検証を行いましたので,技術担当からのレポートをお届けします。
テガラとしては,とくに企業ユーザーの方や研究者・開発者の方にとって気になる点と思われる「XPモードの動作」「SSDへの対応」「GPGPUへの対応」の3つに着目してみました。
【XPモードについて】●動作環境
動作には条件があり,CPUがIntel VTやAMD-Vなどの仮想化支援機能を搭載している必要があります。そのためかなり最新のCPUでないと動作しません。最新のCPUでであっても,CeleronやCore2DuoのE7000番台などでは対応していません。
●ハードウェアの認識
動作するXPはVirtualPCをベースに,専用のXPイメージを利用したものです。Windows7のインストールイメージとは別にダウンロードが必要ですが,マイクロソフトよりダウンロードした時点で,ほぼ設定は終わっています。
動作するOSはWindowsXPそのものですが,ハードウェアをそのまま認識するわけではありません。PCIバスなどの増設カード関係はうまく動作しないようです。また,HDDもSASですら認識しません。通常のVirtualPCを利用した仮想化と同様に,ハード制御用途には使えない様子です。
ただ,USBだけは多少考慮がされていて,ホスト側(Windows7)からWindowsXPへUSBを直接制御させるような項目が追加されています。確認した範囲ではDVDドライブなどもWindowsXPから直接接続された形になっていましたので,多くのUSB機器やUSB変換ケーブルなどは利用できるかもしれません。
WindowsXP側ではホスト側のWindows7とは独立してHDDを構成しますが,ホスト側のHDDはネットワークドライブとして自動的にマウントされる設定になっています。Windows7側からは直接WindowsXP側のドライブを見ることは出来ませんので,Windows7-WindowsXP間のデータやり取りはXP側を主体に行う必要がありそうです。
その他,ハードウェア認識においてはメモリは容量を手動で設定することができます。CPUは1コアしか利用できません。また,仮想グラフィックチップは「S3 Trio」という非常に古いチップで認識しているため,表示能力はかなり低いです。ためしにHD動作を再生してみましたが,CPUにCore i7 940を使ったマシンであってもコマ落ちが発生しました。
グラフィック性能を求められるようなアプリケーションの利用はできないと思ったほうが良さそうです。。。
●ベンチマークを取ってみた
Windows7とWindowsXPモードにてベンチマークソフトを走らせ,性能を比較してみました。その結果,HDDの速度は意外と?差がなく2割程度の速度差でした。CPUは認識するコア数が違うため正確な比較が難しいのですが,そこまで遅くはならない印象です。メモリ速度は計測した中ではもっとも差が付いていました。

CrystalDiskMark2.2によるHDDベンチマーク結果の比較(クリックで拡大)

Crystalmark 2004R3による比較(クリックで拡大)
●表示について
WindowsXPモードの画面はWindows7の1ウインドウとして表示されます。また,特定のソフトウェアだけをWindows7の1ウインドウとして表示させる「仮想アプリモード」で利用することも出来ます。この場合はWindows7のメニューから特定のソフトウェアを一発で起動させ,あたかもWindows7上で動作しているように利用することができます。ただし,仮想アプリモードを利用した場合はWindowsXP全体を同時に利用することはできません。

WindowsXPのデスクトップをWindows7の1画面として表示し,XP上にてgoogle Chromeを動作させたところ(クリックで拡大)

WindowsXPモードで動作するgoogle ChromeをWindows7の1画面として表示させたところ(クリックで拡大)

Windows7上にてgoogle Chromeを動作させたところ(XPモードは使わず)(クリックで拡大)
【SSDへの対応について】WindowsXPやVistaではSSDへの最適化がされておらず,SSDのパフォーマンスを引き出し寿命を長持ちさせるには,自力でチューニングが必要でした。Windows7においては正式にSSDに対応するという情報がありました。当初の情報ではATA8-ACS準拠のコマンドによって回転数を検知させ,SSDは無回転であることからその部分でSSDか否かを区別しているとの話でしたが,その後,ランダムリード性能が8MB/secを超えるデバイスであることも条件に加えられているようです。
ただ,テガラのテスト用SSDでチェックしたところ,Windows7側でSSDと認識せず,WEB上で情報収集した限りでもSSDをSSDとして認識したという情報が見つかっていません。現時点ではまともに機能していない可能性も高いです。また,SSDとして認識しないため未評価ですが,SSDの場合は自動デフラグ/スーパーフェッチ/ブートプリフェッチ/アプリケーション起動プリフェッチ/ReadyBoost/ReadyDriveが自動的に無効化されるとの事です。また,SSDなどへの対応としてTrimコマンドと呼ばれる不要ブロックへの通知をする機能を追加するとの話があります。これは該当ブロックの消去を行う行わないはコントローラー側で決められるといった規格で、寿命の伸びが期待できます。デメリットもあり、今の状態だとRAIDなどを組んでいた場合パリティが意味をなさなくなってしまうという問題もあるようです。このあたりは今後修正されると予測されます。
【GPGPUへの対応について】正確にはWindows7の新機能ではありませんが(Vista以降で対応),GPGPUへの対応も表明されています。実際にはDirectX11での実装となるようで現時点ではRC版には実装されておらず,チェックはできませんでした。またビデオカード関係ではWindows Display Driver Model1.1の実装とGDIのハードウェアアクセラレーションが範囲限定で復活するようです。ただし、2Dの描画自体はDirect2DがネイティブAPIとなっていく模様。最近のビデオカードは2Dのアクセラレーシンをサポートしていないと言われているためどんな狙いかがはっきりしませんが、VistaでGDI描画が遅いといわれた部分への対応なのかもしれません。この辺は現在でもVista or XPとビデオカードメーカーの組合せで変わるので難しい所かもしれません。また、ビデオとは直接関係がありませんが、標準でH.264/AAC/DivXのコーデックをサポートしています。
【その他】
デフォルトではメールソフトが無くなっています。別途WindowsLiveからダウンロードする必要があります。